【朝日】 「安倍の葬式はうちで出す」
『約束の日 安倍晋三試論』小川榮太郎著
『約束の日 安倍晋三試論』
安倍叩きは「朝日の社是」
「安倍の葬式はうちで出す」。
本書では、この安倍内閣当時の朝日幹部のグロテスクな言葉が繰り返し引用される。政治評論家の三宅久之は著者に、朝日の若宮啓文論説主幹(現主筆)とのこんなやりとりを明かしたという。
三宅「朝日は安倍というといたずらに叩(たた)くけど、いいところはきちんと認めるような報道はできないものなのか」
若宮「できません」
三宅「何故(なぜ)だ」
若宮「社是だからです」
特定の政治家を叩き、おとしめることが社是である新聞社とはどんな存在だろうか。それは、むしろ政治的意図をあらわにしたプロパガンダ機関というべきだが、社論を決定する地位にある人物がこう述べたというから驚く。
メディアが権力者を批判するのは当然だが、著者が指摘する「明白なウソ」「虚偽のストーリー」による安倍叩きに正当性はあるのか。本書は、安倍内閣で首相補佐官を務めた世耕弘成が大学生に語った述懐を取り上げる。
「今でもよく思うんだよね。安倍内閣とは一体何だったのだろうって。あの叩かれ方は何だったのだろう」
安倍が推進した教育基本法改正に関して反対運動の記事70件を掲載したが、賛成派の動きは3件だけだという。
反安倍勢力に封印されたあの時代を、正確な記憶として取り戻す-。本書はそのために書かれ、安倍復活の「約束の日」への切望を表明して締めくくられている。(幻冬舎・1575円)
評・阿比留瑠比(政治部)